主要ITベンダ10社によるNGN対応アプリケーション開発の協業プログラム

PR

ITU-Tの標準に準拠したNGNとしては世界初となる、2008年3月末の商用NGNサービスの開始を目前に、「NGNミドルウェアパートナープログラム」の設立総会が、2008年3月25日、NEC本社(東京・港区)にて開催された。同プログラムは、NECの呼びかけにより、主要なITベンダが協業、共通APIなどにより、NGN向けのアプリケーションの研究・開発を促進していこうという取り組み。共通APIは国際標準化を目指す。現在、10社が参加している。NTT主導と捉えられがちなNGNだが、今回の協業プログラムにより、ユーザーに利用しやすい環境や魅力的なサービスが多く生まれることが期待できそうだ。

主要ITベンダ10社によるNGN対応アプリケーション開発の協業プログラム
=NEC本社で、NGNミドルウェアパートナープログラム設立総会を開催=

≪1≫NGN(次世代ネットワーク)における日本の国際的リードを目指す

写真1 広崎膨太郎氏(NEC 取締役執行役員専務)
写真1 広崎膨太郎氏
(NEC 取締役執行役員専務)

最初に挨拶に立った日本電気株式会社(以下NEC) 取締役執行役員専務の広崎膨太郎氏は、「NGNミドルウェアパートナープログラム設立」について、

「ネットワーク環境が進んでいる日本は、NGNでも世界的に先行している。しかし、NGN市場が拡大するためには、NGN対応のアプリケーションやサービスが豊富に提供される必要がある。そうしたNGN対応アプリケーションは、技術的なハードルが高いが、今回のNGNミドルウェアパートナープログラムでは、開発用プラットフォームとして共通APIを作り、簡単にNGN対応アプリケーションが開発できるようになっている。将来的には、このAPIを国際標準にまで持っていき、日本がNGNの国際的なイニシアチブを取れるようにしていきたい」と語った。

挨拶の中で広崎氏は、3月末にいよいよ商用サービスが開始されるNGNの市場状況について説明し、「ブロードバンドの光ネットワーク、ブロードバンドのワイヤレス、モバイルなど恵まれた通信環境が整っている日本は、世界的に見てもNGNへの取り組みは先行している」と述べた。そして、図1を示し、国内外の通信キャリアのNGNへの取り組み状況として、NTTのNGN商用サービスとともに、通信事業者のオールIP化へ向けた動きとして、KDDIのFMBC(Fixed Mobile Broadcast Convergence、固定通信と移動通信、放送の融合)戦略、SoftBankによるYahoo!のコンテンツ環境を統合した新しいオールIPネットワークなどを説明した。

また、ITU-TによるNGNの標準化も加速化しており、IPTVが目玉となるNGNリリース2も前倒しして作業が進んでいる状況を説明した。


図1 NGNへの通信キャリアの取り組み(クリックで拡大)

そして、図2に示すように、NGNのメリットとして、

(1)広帯域で安心なコミュニケーションの実現
(2)場所、時間、資源の制約から解放された「自由な情報空間の創出」

の2つを挙げ、NGNの普及を促すためにも、NGNに対応したアプリケーションの必要性を強調した。


図2 NGNが及ぼすメリット(クリックで拡大)

図3は、従来の企業アプリケーションとNGN対応アプリケーションとのアーキテクチャの違いを示したものである。NGNでIP電話や映像配信、サービスへの課金など、NGN上で動くさまざまなサービスやアプリケーションを作るためには、これまでのWebアプリケーションで必要とされるHTTPに加え、SIP(Session Initiation Protocol)によるネットワークの技術が不可欠だが、SIPにはさまざまな"方言"があるなど、アプリケーションを開発するためにはハードルが高い。


図3 NGN活用のためにはITとネットワークの2つの技術が必要(クリックで拡大)

広崎氏は、「事業としてNGNを考えるときには、IPベースでエンド・ツー・エンドの接続をコントロールする仕掛けであるIMS(IP Multimedia Subsystem、IPマルチメディアサブシステム)がポイントとなる。IMSでは、SIPというプロトコルが主役になり、SIPをうまく使わないとNGNの特徴を活したアプリケーションは開発できない。しかし、SIPの解釈は、会社や部署によってもまちまちで、汎用性の高いサービスを作るに当たっては大きな障害となる。このため、2008年3月のNTTによるNGNの商用サービスのスタートまでに、まず半年かけて社内でSIPの共通化を行った。そして、共通API では、SIPとHTTPをサポートし、アプリケーションを開発する人に分かりやすいAPIを目指した結果、共通APIのサブセットが出来て、今日のパートナー参加の基盤ができた」と述べた。

NGNミドルウェアパートナープログラムは、2007年12月設立され、表1に示すように、現在、EMCジャパン株式会社、日本オラクル株式会社、サン・マイクロシステムズ株式会社、ノベル株式会社、日本BEAシステムズ株式会社、日本ヒューレット・パッカード株式会社、マイクロソフト株式会社、ミラクル・リナックス株式会社、MontaVista Software, Inc.、レッドハット株式会社の10社のITベンダが参加している。

NGNミドルウェアパートナープログラム参加企業(2008年3月現在)
EMCジャパン株式会社 http://japan.emc.com
日本オラクル株式会社 http://www.oracle.co.jp
サン・マイクロシステムズ株式会社 http://jp.sun.com
ノベル株式会社 http://www.novell.com
日本BEAシステムズ株式会社 http://www.beasys.co.jp
日本ヒューレット・パッカード株式会社 http://www.hp.com/jp
マイクロソフト株式会社 http://www.microsoft.com/japan/
ミラクル・リナックス株式会社 http://www.miraclelinux.com/
MontaVista Software, Inc. http://www.montavista.co.jp/
レッドハット株式会社 http://www.jp.redhat.com/

NGNミドルウェアパートナープログラムのSIPミドルウェア共通APIは、NGNのプロトコルや仕組みを知らない人でも利用しやすいAPIという方針で作られている。このため、同プログラム参加企業は、SIP技術に熟練していなくても、SIPミドルウェア共通APIを利用するだけで、IP電話や映像配信、サービスへの課金など、NGNに対応したさまざまなサービスやアプリケーションを簡単に作ることができる(図4)。

また、APIが共通であるため、動作環境に依存することなく、さまざまな種類のミドルウェア上で動く汎用性の高いアプリケーションやサービスを提供することができる。これによって、NGN対応のアプリケーションの創出が加速され、NGN市場の拡大へつながる。

広崎氏は、「本プログラムは、こうしたコラボレーション型でSIPをうまく使いこなすミドルウェア共通APIを用意していこうということ。まずはミドルウェアについてのパートナープログラムだが、アプリケーションについても、別なパートナーシップを形成して、NGNの新しいサービス、新しいアプリケーションを次々に生み出す機会にしたい」と語った。


図4 NGNアプリケーション開発用共通APIとプログラム参加企業(クリックで拡大)

さらに、図5に示すように、NECでは、2008年4月より「次世代ネットワークサービス推進センター」を発足させる。NGN対応アプリケーションの技術支援や、アプリケーションの評価のほか、同プログラムのパートナーを増やしたり、連携を強めるといったプロモーションも行うという。

広崎氏は、「NGNミドルウェアパートナープログラムは、将来的には、パートナーだけでなく業界に広げていきたい。その結果、豊富なアプリケーションが次々に生まれ、NGNの生態系、エコシステムが豊かになる。最終的には、世界に対する情報発信基地となるように目指したい。新しい情報通信環境となるNGNにおいて、本プログラムは、パートナー企業と一緒に事業を展開していくきっかけとして位置づけられる。パートナー企業と一緒に新しい時代を切り開いていきたい」として、同プログラムで、NGNにおいて国際的なイニシアチブをとる意欲を表した。


図5 次世代ネットワークサービス推進センター(クリックで拡大)
Ads by Google

IPv6style