3.11震災復興に向けて立ち上がる研究者!=東北大学:研究拠点「耐災害ICTセンター」を着工へ=(前編)

3.11震災復興に向けて立ち上がる研究者!=東北大学:研究拠点「耐災害ICTセンター」を着工へ=(前編)

東日本大震災で被災した東北地域における中核的な大学「東北大学」が、被災からの「復興・地域再生」を目指して、本格的な取り組みを始めた。1年前の2011年3月11日に発生した東日本大震災は、死者1万5854人、行方不明者3167人(計1万9021人)と日本史上最大規模の犠牲者を生んだ(警察庁発表、2012年3月9日現在)。さらには東京電力・福島第一原子力発電所の事故は深刻な放射能汚染を引き起こし、復興をいっそう複雑で困難なものにしている。
このような背景のもとに、大きな被害を受けた東北大学は、自らの復興とともに研究機関として東北地域の復興に向けて、「東北大学災害復興・地域再生重点研究事業構想」を発表。これを具体的に推進する「東北大学災害復興新生研究機構」を創設し、災害に強いネットワーク(ICT)の研究開発に向けて、「東北大学電気通信研究機構」を設立した。また、本年(2012年)4月には復興の拠点として、NICT(情報通信研究機構)の支援をうけて「耐災害ICT研究センター」の建設に着工(予定)するなど急ピッチな展開を行っている。
ここでは、東北大学教授で電気通信研究所 所長(兼)電気通信研究機構 機構長である中沢正隆教授に、震災復興・再生への研究の取り組みとその意気込みをお聞きした。

≪1≫東京・品川ビル27階で3.11の大地震に被災

■ 1年前の2011年3月11日(金)に、東日本大震災が発生したとき、中沢先生はどちらにおられたのですか。

中沢 当日、私自身は、東京・品川の高層ビル27階で開催されていた、国立大学の附置研究所・センター長会議(注1)に出席していました。そこで、地震が発生しビルが大きく揺れ始めました。私は、その揺れの大きさに思わず「関東大震災」がきたと思ったくらいです。まさか私たちの東北大学(プロフィールは表1参照)のある東北(東日本)の三陸沖を震源地とするマグニチュード9.0の大地震とは想像もつきませんでした。それほど東京での揺れも激しかったのです。私の所属する電気通信研究所は、学生を含めて400名くらいの規模の組織ですが、その時、大学の事務長をはじめ総務や庶務などの関係者も一緒に東京にいました。

 

(注1)「国立大学附置研究所・センター長会議」は、全国の国立大学におかれた附置研究所および研究センターの所長・センター長が相互に緊密な連絡と協力を行うことによりわが国の学術研究の振興を図ることを目的とした組織。附置研究所とは、国立大学に文科省が附置(付属させて設置した研究所)で、例として、東北大学電気通信研究所や東京大学生産技術研究所などがある。

 

表1 東北大学のプロフィール
項 目内 容
創立創立1907(明治40)年6月
(東京帝国大学、京都帝国大学に続く3番目の帝国大学として創立。設立当初から、専門学校、高等師範学校の卒業生にも門戸を開き、さらに1913年(大正2年)には、当時の政府からの圧力にも屈せず、日本の大学として初めて、3名の女子の入学を許可し、「門戸開放」が本学の不動の理念であることを世に示した。)
http://www2.archives.tohoku.ac.jp/tenji/special/joshi.htm
所在地〒980-8577 宮城県仙台市青葉区片平二丁目1-1
(本部事務機構総務部)
総長井上明久〔第20代:2006(平成18)年11月6日~〕
役員・職員数5,950名〔2011(平成23)年5月1日現在〕
学生数18,316名(内留学生数:1224名)〔2011(平成23)年5月1日現在〕
主なキャンパス片平キャンパス、川内キャンパス、青葉山キャンパス、星陵キャンパス、雨宮キャンパス
予算規模2010(平成22)年度予算(収入):1380億円

■ 高層ビル27階では揺れも激しかったでしょうね。

中沢 正隆氏(東北大学教授/電気通信研究所 所長)
中沢 正隆氏
(東北大学教授/電気通信研究所 所長)

中沢 はい。ところが、今、発生した地震について、パソコンでインターネットから調べた先生が、「いや、宮城県沖が震源地のようです。10メートルの津波がくると、ネットに書いてあります」。「ええっー!」と思わず声が出てしまいました。エレベーターは止まるし、交通機関も混乱状態でしたので、そのビルの廊下に2日間ほど毛布1枚で寝ていました。それから2日たっても、当分新幹線は動きそうにないとわかったので、皆それぞれ業務を抱えているため、意を決して帰ろうということになり、鈍行列車にのって宇都宮(栃木県)まで2時間以上かけて行き、そこからタクシーで8時間かけて仙台まで戻ってきました。

■ はあー?8時間もですか?。

中沢 はい。タクシーは、停電のため信号機はすべて消え、明かりもない中、一般道路をかなり飛ばしてくれました。それで、3月13日(日)の夜10時ぐらいに大学に着いたのですが、ふと見ると大学の近くにあるウェスティンホテルだけは電気ついていました。

ウェスティンホテルには、自家発電があったからです。後から聞きますと免震構造なので、ほかの建物は随分揺れたのですが、大丈夫だったらしいのです。ホテル以外は真っ暗でした。


≪2≫キャンパスの28棟が危険判定、施設・物品関連被害額は800億円

■ それは、大変でしたね。

中沢 私たちも東京から戻ってきて、すぐ被害の状況を調べたのですが、幸いなことに、この東北大学の片平キャンパスの土地は地盤がよいため、50年くらいたっている電気通信研究所の建屋は、ひびなどは入っていましたが、大きな破損はなく入室可能でした。

しかし、大学全体の破損はたいへん深刻な状況になっているため、翌日の14日(月)には、総長が学内の全部局長を招集。今後の対策会議を行い、早速、各部局の被災状況や建物、人的被害の調査に乗り出しました。

調査の結果、表2に示す通り、5月(2011年)までに判明した被災状況は、危険と判定された建物は28棟、要注意判定が48棟にものぼり、さらに施設等復旧費用や物品被害額などは、約800億円と見積もられました。

表2 東北大学(東日本大震災:2011年3月11日)の被災状況(施設・設備関係)
項 目内 容
ライフラインの停止危険建物を除き2011年4月26日に復旧
※電気4月4日、水道4月13日、ガス4月26日
建物応急危険度判定① 危険判定          28棟
② 要注意判定         48棟
③ 安全判定(要部分改修含む)512棟
※危険建物として使用できない建物は4万m2
施設等復旧概算費(本大学試算)約448億円(3月24日現在)
物品等概算被害額約352億円(6118件)(5月13日現在)

■ たしかに、(研究所の壁を見渡して)壁は修復されていますが、たくさんのひびが入っていますね。いくつか修復された跡もわかります。また、建物以外にも研究室にある機器や装置類の破損など、かなり大きな被害ですね。学生や大学関係者のけがとか、事故はなかったのですか?

中沢 正隆氏(東北大学教授/電気通信研究所 所長)
中沢 正隆氏
(東北大学教授/電気通信研究所 所長)

中沢 はい。研究室にある機器や装置類の破損などの被害は大きかったのですが、幸いにもけがをした人もなく、大丈夫でした。この片平キャンパス地域は比較的被害が少ない方でした。しかし、東北大学の青葉山キャンパスのほうは危険判定されるほど被災したため、今は建てかえる方向で検討しています。また、悲しい出来事として、仙台市の南東に位置する名取市にある閖上(ゆりあげ)町の海岸線で、本大学の女子学生が津波の犠牲になったりして不運にも3人が亡くなりました。

■ そうでしたか。悲しい出来ごとも含めて、仙台でも震災の被害はかなり大きかったのですね。

中沢 はい。たしかに、東北の他の被災地域に比べると比較的軽傷でしたが、それでも表2に示しましたように、大学始まって以来、最大の被害となりました。


≪3≫震災復興に向けて、研究拠点「耐災害ICT研究センター」を着工へ

■ それでは、東北大学では震災後、どのように大学や地域の復興に向けた取り組みが行われているのか、その具体的なお話をお聞きしたいと思います。その前に、先日、東北大学で開催された記者説明会(記事末のコラム参照)で説明された内容を確認したいのですが、復興に向けて東北大学内に新しく「耐災害ICT研究センター」が設置されるとのことですね。

中沢 はい。今回の東日本大震災では、通信ネットワークシステムが、大きな被害を受けたため、ほとんど通信できない状況が発生してしまいました。このため、社会インフラとして「障害に強いネットワーク」の重要性が、国の課題として浮き彫りになりました。そこで政府は、大災害時においても途絶しない、すなわち、災害に強いネットワークの研究開発を行うため、東北大学と日本の情報通信関係の最大の研究機関であり、総務省傘下のNICT(情報通信研究機構)が連携し協力していこうということで協定が結ばれたのです。これによって、両者は(NICTと東北大学)は協力しながら、世界トップレベルの研究拠点を整備し、共同研究を推進することになったのです。

■ 具体的には、「耐災害ICT研究センター」はいつごろ竣工するのですか。

中沢 研究開発の取り組みなどについては後ほどお話ししますが、本年(2012年)4月以降早急に片平キャンパス内に着工し、来年(2013年)3月に竣工させ、産官学による共同研究を推進することになりました。

■ 「耐災害ICT研究センター」の規模や、研究内容などはある程度決まっているのでしょうか。

中沢 そうですね。全部で2,700m2ぐらいの4階建て程度の建物になりそうです。研究内容としては、途絶しないネットワークを基本に、1つ目は無線技術を本格的に研究開発します。2つ目は私どもが研究している光の技術。3つ目が衛星通信技術です。衛星通信については、今回一部使われましたが、使いにくいなどの問題がたくさんありましたので、この研究開発にも取り組みます。それから、4つ目がデータセンター技術です。例えば、もっているデータをすばやく被災地のA地点から安全なB地点に転送させるようなデータセンター技術、すなわちクラウドコンピューティング技術などにも取り組んでいきたいと思っています。

■ 記者説明会では、政府として当面、84億円の予算を投入するということでしたが。

中沢 そうです。ただし、「耐災害ICT研究センター」の竣工(2013年3月)待ちでは、研究開発が遅れてしまいますので、それまでは、東北大学の施設を一部使用しながら研究開発を進めたいと思っています。


≪4≫「東北大学災害復興新生研究機構」を創設

■ ありがとうございました。次に、東北大学は震災復興に向けて、どのような取り組みが行われてきたのか、お聞きしたいのですが。

中沢 東北大学では、東日本大震災の直後に、まず、図1に示すように、『東北大学災害復興・地域再生重点研究事業構想』を立ち上げました(2011年4月27日)。

http://www.bureau.tohoku.ac.jp/president/open/idrrr/


図1 「東北大学災害復興・地域再生重点研究事業構想」の背景(クリックで拡大)
図1 「東北大学災害復興・地域再生重点研究事業構想」の背景

そして、その構想を具体化するため、井上総長の肝いりで「東北大学災害復興新生研究機構」が2011年4月27日に創設されました(図2)。この機構は、被災した東北地域における中核的な大学として、被災地から「復興・地域再生」を先導するような研究や教育、そして社会貢献等に組織的に取り組むことを目的としています。


図2 東北大学災害復興新生研究機構の創設(クリックで拡大)
図2 東北大学災害復興新生研究機構の創設

そのため、図2に示すように、政府の「復興構想会議」や各自治体の「復興計画」と連携して、いろいろな可能性(ニーズ)に柔軟に対応できるような枠組み(フレームワーク)をつくり、現在、実践しているところです。

また、東北大学の電気通信研究所は、国立大学として、日本で唯一、「情報通信の研究」を行う附置研究所の位置づけとなっています。ですから、その所長である私としては、今回の被災で携帯電話がつながらない、あるいは基幹の光ファイバが切れたとか、そういうお話を聞きますと、これは私たちの責任でもありますので、一刻も早い復興に全力を注がなければならないという強い使命感にかられています。

■ それは、被災地の皆さんにとって心強いことですし、期待も大きいでしょうね。

中沢 はい。ご存じのとおり、今回の被災の規模は世界にも類を見ないほどスケールが大きく、また複合的な災害となっています。ですから、東北大学が被災した市民・自治体の復興にいったいどのようなことで貢献できるか、が大変重要なテーマで、国際的にもこのような取り組みはなかったと思います。今後、数十年先に東北大学は、あのとき、「地域のために何もやってくれなかった」と言われるのではなく、「一丸となって本当に頑張ってくれた」と、そういわれるような大学になりたいと思います。

すなわち、東北大学はやっぱり地域のために、「頼りになる大学」として、市民の皆さんにも喜んでもらえるようなことをやらなければならない。そのような使命感のようなものがあるのです。それを実践し、復興・再生に向けて積極的にメッセージを発信していくことが求められていると思います。


コラム

≪ 記者説明会 ≫
NICTと東北大学が震災復興に向けて
災害に強いネットワークの研究開発で協定を締結!
=東北大学内に「耐災害ICT研究センター」を設置へ=

去る、平成24(2012)年1月19日、NICT(情報通信研究機構)と東北大学は、同大学 片平さくらホールで記者説明会を開催、東日本大震災の教訓を踏まえて、大災害時においても途絶しない、すなわち、災害に強いネットワークの研究開発に関する連携・協力協定を締結した。東日本大震災時に、ネットワークシステムが、大きな被害を受けたため、ほとんど通信(電話)できない状況が発生。このため、社会インフラとしての途絶しないネットワークの重要性が強く認識された。

このような背景から、NICTは、東北大学の協力を得ながら世界トップレベルの研究拠点を同大学内に整備し、産学官の共同研究を推進することによって、災害に強い情報通信の実現と被災地域の地域経済活動の再生を目指すこととなった。

このため、NICTと東北大学は、「基本協定」を締結し、震災復興へ向けての取り組みを本格的に開始した(写真1)


(写真1)協定を締結し、握手する東北大学総長 井上 明久氏(左)とNICT理事長 宮原 秀夫氏(クリックで拡大)
(写真1)協定を締結し、握手する東北大学総長 井上 明久氏(左)とNICT理事長 宮原 秀夫氏

記者説明会に同席した総務省の久保田 誠之(大臣官房総括審議官、写真2参照)は、記者団の質問に対し、すでに成立している情報通信ネットワークの耐災害性強化のための研究開発に関する「総務省第3次補正予算」(159億円)の概要を説明。

具体的には、表1に示すように、第3次補正予算159億円のうち、③東北大学等での研究開発拠点の整備については84億円が計上されていると述べた。

これは、NICTへの施設整備費補助金としての予算化されたもので、これによって、研究開発に関する試験や検証・評価を行うための設備(テストベッド)や、建物「耐災害ICT研究センター」が、東北大学の片平キャンパスに設置される。建物は、2012年4月に着工され、2013年3月の竣工を目指している。

今後、NICTと東北大学との密接な連携を軸に、広く大学、民間企業等の参加を求めて、産学官連携によって、耐災害ICT研究を実施することになった。

表1 災害復興に向けた情報通信関係の総務省第3次補正予算の概要
研究開発の内容予算の金額
①災害時に発生する携帯電話の輻輳(混雑)を軽減する技術の研究開発(委託研究:総務省直轄)49億円
所在地〒980-8577 宮城県仙台市青葉区片平二丁目1-1
(本部事務機構総務部)
②災害で損壊した通信インフラが自律的に機能を復旧する技術の研究開発(委託研究:総務省直轄)26億円
③東北大学等での研究開発拠点の整備(NICTへの補助金)84億円
合 計159億円

(写真2)記者説明会への主な出席者(クリックで拡大)
(写真2)記者説明会への主な出席者
(敬称略):(向かって左から)【東北大学関係】:塩入 諭(電気通信研究所 副所長)、中沢 正隆(電気通信研究所 所長 (兼)電気通信研究機構 機構長)、数井 寛(理事)、井上 明久(東北大学総長)。続いて中央【NICT・総務省関係】:宮原 秀夫(NICT理事長)、久保田 誠之(総務省 大臣官房総括審議官)、富永 昌彦(NICT理事)、熊谷 博(NICT理事)、益子 信郎(NICT執行役)

(後編に続く。後編では復興に向けた具体的なプロジェクトなどをお聞きします)


バックナンバー

3.11震災復興に向けて立ち上がる研究者!
=東北大学:研究拠点「耐災害ICTセンター」を着工へ=(前編)

http://wbb.forum.impressrd.jp/feature/20120321/868

3.11震災復興に向けて立ち上がる研究者!
=東北大学:研究拠点「耐災害ICTセンター」を着工へ=(後編)

http://wbb.forum.impressrd.jp/feature/20120409/872


プロフィール

中沢正隆(東北大学 教授/電気通信研究所 所長/電気通信研究機構 機構長/国立大学附置研究所・センター長会議会長)

中沢正隆(なかざわまさたか)氏

現職:
東北大学 教授/電気通信研究所 所長/電気通信研究機構 機構長/国立大学附置研究所・センター長会議会長

【略歴】
1980年、東京工業大学大学院博士課程了。工学博士。同年日本電信電話公社(現NTT)電気通信研究所入社。1984年~1985年、MIT客員研究員。2001年から東北大学・電気通信研究所・教授。光ファイバ中の非線形光学効果、ソリトン通信、EDFA、コヒーレント伝送に関する研究に従事。IEEE、OSA、電子情報学会フェロー、応用物理学会フェロー。2005年度情報通信学会 エレクトロニクスソサイエティ会長。2010年、電気通信研究所所長。2011年、国立大学・附置研究所・センター長会議議長。


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本書は、半導体を使ってグリーン化が進み、今後の推進可能な分野を、調査データと技術解説の両方から解説しています。
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スマートグリッドシリーズ第4弾
世界のスマートグリッド政策と標準化動向2011
[実用期に入ったNIST/IEC/IETF/IEEEの全仕様とサイバーセキュリティ]

http://r.impressrd.jp/iil/SmartGrid2011

執筆者:新井宏征/名和利男/湧川隆次
ページ数:328P
サイズ・判型:A4判
価格:CD(PDF)版 85,000円(税抜)
   CD(PDF)+冊子版 95,000円(税抜)

〔本書の特徴〕
スマートグリッド(次世代電力網)は、2010年1月にNIST(米国国立標準技術研究所)が「スマートグリッド標準仕様 第1版」を発表して以来、急速に世界的な取り組みが活発になってきた。本書は、具体化してきたNISTやIEC、IETF、IEEEなどの標準仕様や世界各国の政策、参入プレイヤーの動向など、最新動向を網羅する。
まず標準化動向については、2010年まではNIST中心に見えていたスマートグリッドを、欧州のIEC(International Electrotechnical Commission、国際電気標準会議)における取り組みについても広く取り上げてまとめている。さらに、個々の標準化のフレームワークのなかの具体的な技術仕様である、IETFやIEEEの最新動向についても整理している。
また各国の事情によって異なるスマートグリッド政策とビジネス動向については、国内をはじめ、米国、欧州、アジア諸国について最新動向と今後のロードマップについてまとめている。特に中国と韓国を中心としたアジア諸国で急速に推進されているスマートグリッド政策については、新しい動きとして注目できる。
さらにスマートハウスやスマートシティにおいて、ネットワーク経由で収集される家庭や企業の個々の電力情報に関するセキュリティ対策も重要視され、いくつかの国で、スマートグリッドのサイバーセキュリティに関する先進的な施策が推進されている。本書では、スマートメーターやスマートハウスにおいて想定されるサイバーセキュリティ対策についても、その脅威について触れながら解説している。
本書の最後には、最新のスマートグリッドの用語集も付け、読者がより理解できるように工夫されている。


日米欧のスマートメーターとAMI・HEMS最新動向2011

好評発売中!
スマートグリッドシリーズ第3弾
日米欧のスマートメーターとAMI・HEMS最新動向2011
http://r.impressrd.jp/iil/SmartMeter2011

執筆者:新井宏征(株式会社情報通信総合研究所)
ページ数:172P
サイズ・判型:A4判
価格:CD(PDF)版 85,000円(税抜)
   CD(PDF)+冊子版 95,000円(税抜)

〔本書の特徴〕
本書は、第1弾のスマートグリッド、第2弾のスマートハウスに続いてく、「スマートグリッドシリーズ」の第3弾である。本書は、現時点におけるスマートグリッドビジネスの本丸とも言えるスマートメーターをテーマとして、関連するさまざまなトピックを取り上げている。電力量計の歴史をひもときながら、スマートメーターの登場までをたどり、スマートメーターの仕組みや、スマートメーターと密接に関連する重要な要素であるAMI(高度メータ―基盤)やHEMS(宅内エネルギー管理システム)について解説をしている。
わかりやすく整理した「スマートメーター・AMI・HEMS関連用語集」付き。


日米欧のスマートハウスと標準プロトコル2010

好評発売中!
スマートグリッドシリーズ第2弾
日米欧のスマートハウスと標準プロトコル2010
[Smart Energy Profile 2.0によるスマートグリッドの新展開]

http://r.impressrd.jp/iil/SmartHouse2010

執筆者:
新井宏征(情報通信総合研究所)、 水城官和・林為義(Wireless Glue Networks)
ページ数:174P
サイズ・判型:A4判
価格:CD(PDF)版 85,000円(税抜)
   CD(PDF)+冊子版 95,000円(税抜)

〔本書の特徴〕
スマートハウスを実現するための技術動向とSmart Energy Profile 2.0に関する初めての解説書スマートハウスは、近年、地球温暖化対策などの観点から、国際的にその必要性が注目されている。スマートハウスとは、ICT(情報通信技術)を活用して、住宅を取り巻くさまざまなアプリケーションを統合的に制御する取り組みであり、「省エネ」(エネルギー消費の削減)「創エネ」(再生可能エネルギーなどによるエネルギー生成)「蓄エネ」(蓄電池や電気自動車のバッテリーなどを利用したエネルギー貯蔵)が期待されている。米国では、すでにスマートメーターの設置やホーム内での監視制御機器に関しての標準化が活発になっており、日本でも国内版のスマートハウスに関連する動向が注目されている。
本書では、先行する米国のホームエリアネットワーク(HAN)技術を中心に、最新のアプリケーション「Smart Energy Profile 2.0」について全体像を解説している。さらに、スマート ハウスを構成する「スマートメーター」「HEMS」(ホームエネルギー管理システム)」「エネルギー端末」について整理してまとめ、続いてスマートハウスに関連する実証実験プロジェクトやビジネス動向についても触れている。