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中国の最新インターネット事情(2):中国のインターネットの歴史と現状

 
水, 2008-10-08 09:50
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連載
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TERMONY インターネットビジネス事業部代表 陶一智(著)/法政大学ビジネススクール教授 村上健一郎(監修)

北京オリンピック開催記念連載! 第2回

中国では、急速な経済成長を背景に、すでに携帯電話利用者は5億人を超え、さらにインターネット利用者数は、2008年6月末で2億5千300万人に達しています。これは、2億1千500万の米国を超えて、世界第1位の数字です。この連載では、中国のインターネットの歴史や特徴、社会に与える影響など、最新の情報に焦点を当てます。
連載第2回目の今回は、中国のインターネットの歴史について紹介します。

第2回 中国のインターネットの歴史と現状

≪1≫中国のインターネットの夜明け

中国からの最初の電子メールがインターネットへ送られたのは1987年9月20日のことでした。これは、北京のコンピュータ応用技術研究センターICA(Institute of Computer Applications)と、ドイツ・アカデミック・ネットワークを構築するプロジェクトDFN(Deutsches Forschungsnetz) のノードの1つであったカールスルーエ大学(Karlsruh University) とを接続したものです。最初のメッセージは、“Across the Great Wall we can reach every corner in the world.”(遂に長城を越え、我々は世界中にメールを届けることができるようになった)というものでした。これが、中国のインターネットの夜明けとなりました。

この時に使用されたプロトコルは、X.25プロトコル上にメール交換用のプロトコルPMDF(A PASCAL Based Memo DIstribution Facility)プロトコルを乗せたものでした。PMDFは、米国のARPAInternetに加入していない大学やアメリカ以外の大学をARPA Ineternetと接続する目的で構築されたCSNET(Computer Science NETwork)で使用されていたプロトコルで、当時、ドイツではこれをSiemens社のコンピュータBS2000上に実装するという作業を行っていました。両者は、中国との間で専用線を持っていたイタリアの通信会社Italcableに対し、X.25のパケットをドイツと中国とを結ぶために中継するように依頼し、その前年の1986年にはX.25での接続が可能となっていました。北京側で接続作業を行ったのはICAのWan Yuen Fung教授たちであり、ドイツ側はカールスルーエ大学(Karlsruh University)の計算機科学のWerner Zorn教授でした。

この時にすでにCSNETを経由して世界中とメッセージは交換できていたものの、CSNETは米国科学財団NSF(National Science Foundation)が運営しており、正式な接続には許可が必要でした。Werner Zorn教授らの要請により許可が下りたのは、1987年の11月のことです。

なお、X.25プロトコルとは、国際電気通信連合ITUの勧告の一つで、公衆回線を使ってパケット通信を行うものです。これは、インターネットが普及する前から各国でサービスが行われており、コンピュータ同士や、コンピュータと端末を結ぶために設計されたものです。例えば、銀行のATMを銀行のコンピュータに結ぶオンライン・システムや航空や鉄道の予約システムなど、広く利用されてきました。ただし、パケット・サイズは128バイトと短く、その速度も300bpsから64kbpsなどの遅いものでした。このX.25のネットワークが中国国内で本格的に構築されたのは1988年になってからです。北京、上海、広州、瀋陽、西安、武漢、成都、南京、深セン(センは土ヘンに川)などの都市を結ぶCNPAC(※)が建設されました。

興味深いことに、中国のトップ・レベル・ドメインCNのドメイン・ネーム・サーバーは、カールスルーエ大学に設置されました。

中国は、1990年10月に、当時ドメイン名を管理していた米国SRI-NIC(Stanford Research Institute Network Information Center)にドメインの登録を申請し、11月には登録が完了していました。しかし、ドメイン・ネームのサービスに必要な肝心のインターネット接続がまだだったのです。既に説明したように、当時は、まだ、電子メールの転送しかできないX.25/PMDFプロトコルを使用していましたから、インターネットに接続されていたドイツに設置せざるを得なかったのです。

※ CHINAPAC:China Public Packet Switched Data Network、中国公用パケット交換網

≪2≫インターネット接続の開始

1994年4月20日、中国はインターネット・プロトコルによる接続を開始しました。これは、米国Sprint社のサービスを通じて64kbpsの速度の国際専用線を米国まで引き、当時、インターネットを運用していた米国科学財団が運営していたNSFnet(National Science Foundation Network)に接続しました(※注)。このインターネット接続を契機として、次のように中国のインターネットは急速に形を整えていくことになりました。

まず、1994年の5月15日には、中国科学院CAS(Chinese Academy of Sciences)の高エネルギー物理研究センターで、中国で初めてのウェブ・サーバーが稼働しました。当時のウェブページの内容は、主に中国のハイテクの発展を紹介するものでしたが、中国のニュース、経済、文化、商業貿易などを紹介する"Tour in China"というコラムまで載せられていました。

同年5月21日には、中国科学院のコンピュータ・ネットワーク情報センターにドメイン・ネーム・サーバーが設置され、それまでサーバーのあったドイツから引き継いで中国のトップ・レベル・ドメインCNのドメイン・ネーム・サービスを開始しました。また、同月、中国で初めてのインターネット掲示板BBS(Bulletin Board System)が国家知能コンピュータ開発センターで開設されました。

同年9月には、郵電部MPT(Ministry of Post and Telecommunication)の電気通信総局と米国の商務省がインターネット接続の合意を締結し、電気通信総局が2本(1本は北京、もう1本は上海から)の64kbpsの専用線を米国Sprint社のサービスを使って米国と接続することに決定しました。これによって、中国で初めての商用インターネット・サービスCHINANETの構築が電気通信総局の下で始まりました。そして、1995年1月には、電話回線やX.25のパケット網などを通して一般にインターネット接続サービスが提供されることとなりました。1996年1月、CHINANETは中国全土にサービス地域を拡大しました。同年、11月15日には、中国で最初のインターネット・カフェが北京首都体育館の隣に開店しています。

なお、中国は次世代のIPv6にも力を入れています。1998年6月、中国のアカデミック・ネットワークのCERNETはIPv6の実験ネットワーク6boneに参加し、国内でも運用実験を行ってきました。(なお、6boneは2006年に運用を停止した)

※注:もともとインターネットは米国国防高等研究計画局DARPA(Defence Advanced Research Project Agency)によって運用されていましたが、1990年にはDARPAの運用が完了し、NSFが引き継ぐ形でインターネットが運用されていました。

≪3≫モバイル・インターネット・サービスの開始

2000年代になると、更に動きが加速されます。例えば、携帯電話でインターネットを利用するモバイル・インターネットのサービスのが2000年5月17日から提供されるようになりました。これは、CMNET(China Mobile Network)と呼ばれ、携帯電話サービスを提供するチャイナモバイル(中国移動)のサービス“全球通WAP”(携帯インターネットの意味)です。最初は、その速度はGSM方式の最大パケット通信速度である9.6kbpsだったのですが、2002年5月17日に、第2.5世代の方式GPRS(最大15kbps)でのサービス提供が全国一斉に開始されました。

以上のように、中国のインターネットは、ドイツを経由した電子メールの交換から始まり、1994年の米国のインターネットとの接続によって急速に発展をとげ、21世紀に入ってから携帯電話でのインターネット・サービスも開始されることとなりました。これらの主な出来事を表1にまとめておきます。なお、本文では説明しなかった事柄で重要なものを表1に加えておきました。


表1 主なできごと(クリックで拡大)

【コラム】

中国のインターネット・カフェ
インターネット・カフェのことを中国では网吧(wang ba)と呼びます。中国全土で11万店もあると言われています。日本と違い、中国ではインターネット・ユーザーの多くは、家庭だけでなくインターネット・カフェをよく利用します。例えば、CCNICの調査によると、2~3割ほどがインターネット・カフェを利用すると回答しており、7割程度の人が家庭でインターネットを使用しているという回答をしています。

インターネット・カフェで何をするかというと、ゲームや映画を楽しんだり、チャットをしたり、株取引をするのです。また、ビルのフロアが丸ごとインターネット・カフェに使われているような大規模な所も少なくありません。中国では、18歳以下の未成年者はインターネット・カフェの利用が禁止されているので、客は大学生以上の若者が中心です。都会や大学の近くなどでは24時間営業も普通に見られますが、8時から24時くらいまでの営業時間が多いようです。中はゲームの歓声が響いてにぎやかで、入り口には写真1のような派手なゲームの広告が全面に張られています。インターネット・カフェごとに違いは大きいのですが1時間当たり数元ほどの料金です。例えば、私の知っている例では、1時間で2元(32円)の料金で、飲み物はついていません(写真2)。


写真1 ゲームの広告が目立つインターネットカフェの入り口(クリックで拡大)


写真2 未成年禁止の看板と営業時間の表示(クリックで拡大)

プロフィール

陶一智(とう・いちち)

7年前に来日し、2006年に法政大学ビジネススクールにおいてMBA(経営学修士号)を取得。
現在、株式会社TERMONYのインターネットビジネス事業部代表として、女性のためのウィッグ販売サイトhttp://www.igennki.comのオペレーションを行っている。

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