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中国ケータイ最前線(7):過熱化する携帯端末のシェア争い

 
木, 2008-04-24 19:14
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連載
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陶一智(著)TERMONY インターネットビジネス事業部代表/村上健一郎(監修)法政大学ビジネススクール 教授

北京オリンピック記念連載! 第7回(最終回)

本年2008年に開催される北京オリンピックを目前に、中国では、新しい3Gモバイル規格「TD-SCDMA」のサービス開始に向けて活発なトライアル実験が進んでいます。1987年11月18日、広州で始まった中国の携帯電話システムは、2007年11月で20年目を迎えました。人口13億人の中国での携帯電話のユーザーは、いまや5億人を超える世界最大のネットワークになっています。そこで、世界がもっとも注目する中国の通信ネットワーク事情をレポートします。図やグラフだけでなく、携帯電話の利用方法の違いなど、できるだけ具体的に分析し、中国と日本の携帯電話事情の違いを明らかにしていきます。
最終回となる第7回は、中国国内で過熱化する携帯端末のシェア争いと中国の携帯電話産業の構造について説明します。
陶一智(とう・いちち)(著) TERMONYインターネットビジネス事業部代表
村上健一郎(むらかみ・けんいちろう)(監修)法政大学ビジネススクール

第7回(最終回) 過熱化する携帯端末のシェア争い

≪1≫中国国内の携帯電話メーカーの競争

[1]年平均15%~17%で拡大する中国携帯電話市場

英国の市場調査会社であるOvum社(http://www.ovum.com/)によると、今後5年の中国国内の携帯電話市場は年平均15%~17%で拡大して行くものと予想されています。また、携帯電話の通信事業者の売上は2012年まで、1230億ドル(日本円で約13兆5000億円)に達すると予測されています。現在でも、中国はすでに世界最大の携帯電話機の生産国でもあり、世界最大の携帯電話機の市場となっています。図1に中国における携帯電話の生産台数推移を示します。これは中国情報産業部[1]の中国電子工業年鑑のデータを元に作成したものです。

図1 携帯端末の生産台数(クリックで拡大)
図1 携帯端末の生産台数

順調に増加しているように見えますが、中国の携帯電話機供給メーカーは激しい競争の中にあります。1999年から政府が端末製造のライセンス制度によって国内産業を保護してきた政策が功を奏し、2000年代に入り、波導(NINGBO BIRD)やTCL集団などの国産メーカーは需要の多いローエンド端末の分野でシェアを伸ばし、それまで上位を占めていたモトローラやノキアを追い越して2003年度には1、2位のシェアを獲得しました。

この成功に刺激され、増産や新規参入するメーカーが増えて供給過剰となりました。メーカー数も2004年には40社近くまで増加して、不良在庫が4000万台とも言われていました。このため、情報産業部は、2005年の2月に許可の基準を明確にし、シェアや販売台数の最低基準を設け、基準をクリアできているメーカーに生産認可を与えるという「移動体通信システム及び端末への投資認可に関する規定」を設けました。これには、市場をより効率的なものにする意図がありました。しかし、まだその効果が表れていません。その理由として、許可を与える企業数を市場の動向から適切に判断することは難しいことがあります。また、生産技術に規模の経済がある場合、均衡企業数は最適企業数を上回ることなどが指摘されています[3]。つまり、携帯電話を多く製造すれば1台当たりの原価は下がってきます。であれば、企業はできるだけ多くの端末を製造することで利潤を上げようとし、過剰な生産能力を持つことになります。

また、規制に反した“黒手機(ヤミ電話)”[1]の流通も問題となっています。中国の大手IT系コンサルタントのCCIDコンサルティング(賽迪顧問)社[2]によると、2007年上半期では、使用許可のある正規品は約7220万台の販売に対して、許可を受けていない“黒手機”が約2343万台となり、実に販売台数の4分の1に達したとのレポートもあります。その多くは深セン(土ヘンに川)からの密輸入品と見られています。

[2]激化する外国系メーカーとのシェア争い

携帯電話機メーカー同士の激しい競争の中には、地場産業(国内系メーカー)と多国籍企業(外国系メーカー)とのシェア争いという構図もあります。図2は、中国携帯電話機市場における、国内系メーカーのシェアと国外系メーカーのシェアです。2003年時点では、国産系メーカーブランドの携帯電話の市場占有率が国外系メーカーブランドのそれを上回っており、53.5%まで達していました。ところが、2004年以降、その割合は下がりつづけ、2006年には35%まで減少しています。つまり、国外ブランドのほうが強い状況となっています。これは、数百元の価格帯にあるローエンド端末分野の競争の激化や、ユーザーが1000元以上のミッドエンドやハイエンドの端末にシフトしてきた影響であると考えられます。ミッドエンド以上は、海外ブランドの得意分野です。

図2 中国携帯市場海外と国産メーカーシェア推移([1][4]から作成)(クリックで拡大)
図2 中国携帯市場海外と国産メーカーシェア推移([1][4]から作成)

[3]ノキアとモトローラで50%以上のシェア

以下では、この状況をさらに詳しく分析していきましょう。

図3に、2006年のブランドごとのシェアを示します。この2006年時点で、携帯電話機のブランドは80にものぼっています。GSM方式の携帯電話では、ノキアとモトローラを合わせた市場占有率は52.8%に達しており、CDMA方式の端末については、サムスンが大きなシェアを持っています。図3は、これらGSMとCDMAの両方を合わせた台数でのシェアを示しています。

そのトップ10のブランドのシェアは、ノキア31.7%、モトローラ21.1%、サムスン9.0%、レノボ(国内ブランド)6.5%、ソニー・エリクソン5.5%、ニンボ・バード(国内ブランド)4.9%、アモイ(国内ブランド)3.0%、LGエレクトロニクス2.2%、コンカ(国内ブランド)1.5%となっています。2003年にシェアが大きかった国内ブランドのTCLは、その他に含まれてしまいました。すでに説明したように、ブランド全部で80もあるのですから、残りの70ブランドほどが小さなシェアで激しく競争していることがわかります。表4には、代表的なブランドを国内、海外に分けて示しておきます。

図3 携帯電話市場シェア(クリックで拡大)
図3 携帯電話市場シェア
表1 代表的な内外のブランド
 国内ブランド 海外ブランド
聨想(LENOVO、レノボ)NOKIA(ノキア)
波導(NINGBO BIRD、ニンボ・バード)MOTOROLA(モトローラ)
夏新(AMOI、アモイ)SONY ERICSSON(ソニー・エリクソン)
康佳(KONKA、コンカ)SAMSUNG(サムスン)
TCLLG ELECTRONICS(LGエレクトロニクス)

 

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