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エリクソンのNGN/IMS/LTE戦略を聞く(2):IMSによるFMCの実現とフェムトセルへの展開

 
月, 2008-03-31 10:20
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特集
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エリクソンは、モバイル事業を核に、通信インフラを世界的に展開している世界企業です。また端末事業でも、ソニーとの合弁会社ソニーエリクソンが世界的に展開しています。欧州のNGNなどの標準化組織であるTISPANにも意欲的に参画し、次世代ネットワークNGNやIMSをはじめ、IPTVさらにモバイルでは3.5G以降に注目されるLTEなど新しい分野でも積極的な取り組みを展開している国際的なリーディング・カンパニーです。
そこで、エリクソン北東アジアCTO 藤岡雅宣(ふじおか まさのぶ)氏に、モバイルの強みを生かしたNGN戦略、IMSによる固定系、移動系ネットワークを結ぶマルチメディア・プラットフォーム戦略、さらには次世代モバイル通信規格である、LTE/SAEやIMT-Advancedの標準化動向などをうかがいました。
第2回目は、
第1回 IPTVをコミュニケーションの核にするエリクソンの戦略
に続き、IMSリリース7の特長とエリクソンのビジネス戦略の中での位置づけ、IMSによるFMCの実現や新しい小型基地局「フェムトセル」への展開などについてお話しいただきました(文中敬称略)。

第2回 IMSによるFMCの実現とフェムトセルへの展開

≪1≫マルチメディア・サービス基盤としてのIMS

■NGNの中でIMSは重要な技術ですが、御社のビジネス戦略の中で、IMSはどのように位置づけられているのでしょうか? 説明してください。

藤岡 IMSは、固定通信と、移動通信の共通機能でありマルチメディア・サービスを提供するための基盤です。また、既存の電話網を段階的にマルチメディア・サービスを提供できるように置換するプラットフォームとしても期待しています。

NGNの中でもIMSは重要な位置づけがされており、標準化も進んでいます。今後は、ASP(アプリケーション・サービス・プロバイダ)や、ホーム・ネットワークと連携するような新しいビジネス・モデルを確立しようとしています。

■ 具体的にはどういうサービスがありますか。

藤岡 当社のIMSは、固定系ネットワーク向けと移動系ネットワーク向け両方に適用可能です。固定系ネットワーク向けでは、企業向けのIPセントレックス(※)などでVoIPサービスを中心に導入しており、主要事業者はNGNの一環として導入を検討しているところもあります。

移動系ネットワーク向けIMSでは、Push to Talk(PTT:プッシュ・ツー・トーク)や回線交換と組み合わせたサービス、例えば電話をしている最中に地図を送付するなどで、すでに導入されています。さらに、今後のパケット・ベースのサービス開発に向け導入が加速しています。

※IPセントレックス:IP Centrex、IPにより企業の拠点間の端末やゲートウェイに対して提供するサービスや、そのためのシステム

■移動系ネットワーク向けのIMSについて説明していただけますか。

藤岡 モバイル向けIMSについては、当社は全世界で50社と商用契約を結んでおり、すでに22社で稼働しています。図1に示すように、日本ではソフトバンクモバイルで導入されています。

今、提供されているサービスは、PTT(プッシュ・ツー・トーク)の商品名である「サークルトーク」と、「ホットステータス」です。「ホットステータス」とは、相手がどういう状態かわかるサービス「プレゼンス」にグループ管理の機能をからめて、参加メンバーや発言者を携帯の画面で確認し、PTTでやり取りすることができます。

これらのサービスについては、2006年に提供開始され、2007年には5月に商用化サービスが実現しています。


図1 ソフトバンクモバイルのIMS(藤岡氏資料による)(クリックで拡大)

■今、IMSの標準化状況は、どういう状況にあるのでしょうか。

藤岡 ご存知の通り、IMSは、3GPPで標準化が進んでおり、現在、3GPPリリース7の標準化が完了したところです。リリース7の特長としては、例えば、CoSe(コージー、Communication Service、コミュニケーション・サービス)の標準化や固定アクセスへの対応機能の充実があります。CoSeは、PTTやチャット、メッセージング、プレゼンス、VoIP(Voice over IP)というような基本的なアプリケーションの機能を部品化し、標準化したサービス機能として提供するわけです。標準化されているCoSeをソフトの標準的切り口であるAPI(Application Programming Interface)を通して利用することによって、いろいろなアプリケーションを簡単に素早く開発することができるようになります。CoSeは、具体的にはJavaベースで利用可能ですから、だれでも簡単に組めるというようになっています。

図2に示すのは、CoSeを利用したエリクソンの開発ツールのSDS(Service Development Studio、サービス開発スタジオ)です。これは、サービス・プロバイダやアプリケーション開発者のためのIPアプリケーションの設計、試験、トライアルを支援するツールです。端末クライアントのソフトをJSR-281(※)というJavaベースのAPIで、またネットワーク・サーバ上のアプリケーション・プログラムをJSR-289(※)という同じくJavaベースのAPIを通して開発および試験することができます。

※JSR 281:IMS Services API、IMSアプリケーションを開発するためのAPIについての文書

※JSR 289:SIP Servlet v1.1、JavaでSIPを利用するための仕様※JSR:Java Specification Request、Java仕様要求。JCPで策定された、Javaプラットフォームに追加される提案された仕様や技術を記述した公式文書。http://jcp.org/en/jsr/all

※JCP:Java Community Process、Javaコミュニティ。Javaプロセスプラットフォームのバージョンや機能についての標準化プロセス

このようにSDSの提供するAPIを使って、Javaでコンポーネントを組むとIMSサービスを生成できます。こうして生成したIMSサービスを、SDS環境をもつパソコンであれば、IMSエミュレータが内蔵されているため、すぐに端末とネットワークの両方の試験をすることができます。

ここで開発したソフトは、そのまま実際の商用ネットワークに搭載することができますし、サーバ側のサービスでも、端末側のソフトでも、そのまま商用サービスで試験することができるのです。このように、アプリケーションの開発と試験をする環境がSDSです。

これまで、通信の世界では、こうしたAPI化は多くのケースで失敗してきていますが、このAPIはうまくいきそうです。


※Eclipse:エクリプス。IBMによって開発された開発ツール。オープンソース化されEclipseプロジェクトが引き継いで開発している
図2 SDSによるIMSサービス生成イメージ(藤岡氏資料による)(クリックで拡大)

■SDS(サービス開発スタジオ)は画期的なシステムと感じますが、いつ発表されたのでしょうか。

藤岡 IMS製品化の初期段階から発表していますが、機能的には徐々に進化してきています。JSR-281などのインタフェースはまだ標準化が終わっていませんが、2008年3月には終わる予定です。IMSは、実際の使用にあたって問題がないかどうか、ネガティブな意見も含めていろいろありましたが、SDSのようなサービス開発環境があると、相当に使い勝手がよくなります。

■話題となっているコモンIMSは今どのような状況なのでしょうか。

藤岡 コモンIMSとは、汎用的に使用できるIMSの共通機能で、その標準化は3GPPで全部行っています。基本的には固定系も移動系も共通でIMSの登録やセッション制御などのコア機能、マルチメディア電話などの基本サービス機能をすべて含んでいます。今後、コモンIMSとしてIMSの多くの部分の標準化が充実していく予定です。

■IMSが発展していく中で、BTなどはコスト削減と同時に、FMCに対しても積極的だという印象があります。日本ではFMCサービスへの取り組みはまだこれからのようですが、どのようにお考えですか。

藤岡 FMC(固定系と移動系の統合)といいましても、BTのBTフュージョンの場合、まだ加入者が4万~5万ぐらいの状況です。フランスのオレンジでは20万ぐらいです。また、同じフランスのブイグテレコムは20万ぐらいのユーザーがいます。あと、ドイツ・テレコム子会社のT-モバイルも北米で20万ぐらいです。これらは、携帯から無線LANなどを通して固定網アクセスを利用するUMA(Unlicensed Mobile Access)というソリューションであり、IMSを利用しているわけではありません。また、BTの移動系は、ボーダフォンのMVNO(※)なので、FMCという意識はそんなに高くないと思われます。一方、今後IMSを核として固定系と移動系の両方のアクセスに共通のサービスを提供していくような、より統合の度合いの高いFMCが進展していくことが期待されます。

※MVNO:Mobile Virtual Network Operator、仮想移動体通信サービス

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