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エリクソンのNGN/IMS/LTE戦略を聞く(1):IPTVをコミュニケーションの核にするエリクソンの戦略

 
火, 2008-03-18 12:23
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特集
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エリクソンは、モバイル事業を核に、モバイル通信のインフラを世界的に展開している世界企業です。また端末事業でも、ソニーとの合弁会社ソニーエリクソンが世界的に展開しています。欧州のNGNなどの標準化組織であるTISPANにも意欲的に参画し、次世代ネットワークNGNやIMSをはじめ、IPTVさらにモバイルでは3.5G以降に注目されるLTEなど新しい分野でも積極的な取り組みを展開している国際的なリーディング・カンパニーです。
そこで、エリクソン北東アジアCTO 藤岡雅宣(ふじおか まさのぶ)氏に、モバイルの強みを生かしたNGN戦略、IMSによる固定系、移動系ネットワークを結ぶマルチメディア・プラットフォーム戦略、さらには次世代モバイル通信規格である、LTE/SAEやIMT-Advancedの標準化動向などをうかがいました。
第1回目は、世界各国のNGNの取り組み状況、NGNの目玉と目されるIPTVと、IPTVを利用したエリクソンの新しいサービスなどについてお話しいただきました(文中敬称略)。

第1回 IPTVをコミュニケーションの核にするエリクソンの戦略
=NGNリリース2を目前にしたIPTVの現況=

≪1≫インフラ、アプリケーションともに日本のNGNは世界に先行

■エリクソンはNGNの標準化にも深くかかわり、リーダー的な役割を果たしていますね。現在の標準化の取り組み状況をどのようにみておられますか。

藤岡 世界的に見ると、NGNの取り組みについては、国によって温度差があります。日本の場合、NGNのもとにネットワークを統合(コンバージェンス)しようという取り組みが、NTTをはじめ、KDDIのウルトラ3Gやソフトバンク・グループなどで盛り上がっており、世界的にも日本が一歩進んでいるとみています。一方、欧州では、BT(ブリティッシュ・テレコム)の21CN(21世紀ネットワーク)プロジェクトやフランス・テレコム、ドイツ・テレコム、テレコム・イタリアなどの場合は、統合(コンバージェンス)というよりは、ネットワークのレボリューション(革新)という意識のほうが強い傾向があります。

■日本ではNGNリリース2向けのキラー・アプリケーションとして、IPTVが注目されていますが、欧米の動きはいかがでしょうか。

藤岡 NGNのアプリケーションとしては、日本では、IPTVがメインだと考えられていますが、これは欧州でも同じです。また、NGNへのアクセス技術として、NGA(※)という、光ファイバに代表される、アクセス部分のさらなるブロードバンド(高速・大容量)化という課題が挙がっています。

これらの取り組みに加え、IMS(※)を利用したIPベースの高度なサービスを実現するという方向性は、どの国も同じですが、その進み方には温度差があります。

※NGA(Next Generation Access):次世代アクセス技術。上り1Gbps、下り2.5Gbpsを超える通信速度、通信容量を実現するための通信技術の総称。
※IMS(IP Multimedia Subsystem):IPマルチメディア・サブシステム。電話網とIP網をSIPで統合して、マルチメディア・サービスを実現するための基盤システム。W-CDMA陣営の「3GPP」ではIMSと呼ばれているが、CDMA2000陣営の「3GPP2」ではMMD(Multimedia Domain)と呼ばれている。

■このような取り組みの違いは、なにが原因だとお考えですか。

藤岡 NGNには2つの方向があります。一方は、現在の電話ネットワークを革新させ、オールIP化することによって、インターネットで開発されたいろいろなサービス(マルチメディア・サービス)を、QoSやセキュリティ、課金機能などのいろいろな付加価値をつけ、高度化していくという方向です。

もう一方は、ネットワーク・システムのコスト削減の方向です。すなわちIP化することによって、高価な電話交換機を比較的安価なルータに置き換えて、設備のコストを下げる方向です。

このように、NGNという標準はできましたが、それをどう使っていくかというところで、世界の通信業界の間で温度差が出ている気がします。

例えば、BTはコスト削減の意識が強いのに対して、フランス・テレコムはもっとアプリケーションを提供するという方向が強いところがあります。この背景には、BTはモバイル事業をもっていないため、固定系の事業だけでいかに生産性を向上させ、利益を上げるかということに重点を置いているところがあるからです。このため、BTでは新しいアプリケーションをどんどん開発していくという方向には動いていないのです。

これに対して、フランス・テレコムは、携帯電話サービス会社オレンジをもっており、収益性もよいため、通信設備のコストを下げる意識よりも、よいアプリケーションを提供することに力を入れています。例えば、ライブボックスという言わばIPTVにも対応可能なADSLモデム兼ホーム・ゲートウェイをユーザーに提供しています。

そうした方向性の違いで欧州内でもNGNへの取り組み方が異なっています。日本の場合は、コスト削減とアプリケーション提供の両面からNGNに取り組んでおり、その点でも世界的にも進んでいる方向にあります。

■新しいサービスなどを目指して、NGNのよい面を積極的に評価して前向きにNGNに移行する形と、従来の交換機がなくなってしまう(製造中止)ので、コスト削減を中心にNGNに移行するという形と、2通りの取り組みがあるということですね。

藤岡 必ずしもNGNという呼び方ではないかもしれませんが、国際的にみて、固定網も移動網もバックボーンをすべてIP化し、アプリケーション用の共通プラットフォームであるIMSを置いて、そのIMS上でいろいろなアプリケーションを開発していくという点については、進行の程度は違うにしても、どの国も同じ方向に向かっています。

逆に言えば、メーカーは従来の交換機に代えてIPベースのシステムの開発をし、通信事業者はIPベースのルータやサーバなどを使っていくしかないのです。そういう意味では、前述した両者は、どちらにしても方向は同じなのです。

■間もなくTISPANからNGNのリリース2の標準化が完了するようですが、リリース1からリリース2への動きをどうとらえておられますか。

藤岡 NGNリリース2でも、NGNアーキテクチャの基本部分やマルチメディア電話での機能的な向上、企業向けサービスの規定などありますが、目玉はやはりIPTVだと思っています。

ただ、TISPANだけでIPTVの仕様が全部できるわけではありません。TISPANにおけるNGN標準化の機能に相当するオープンIPTVフォーラム(※)にも注目しています。オープンIPTVフォーラムは、IPTVに関して、オペレータやインフラ・ベンダだけでなく、テレビとかパソコンといったコンシューマー・エレクトロニクスなどの家電ベンダを含めたエンド・ツー・エンドの体制を組んで、ネットワークのサーバからユーザーが使うデバイス(端末)まで含めたエンド・ツー・エンドのソリューションの標準化を進める業界団体です。 一方NGNリリース2には、モビリティや移動系に関する部分が、標準化の範囲には入っていませんので、そういう意味で、アーキテクチャ的にはリリース1から大きく進展していないと言えます。

※オープンIPTVフォーラム(Open IPTV Forum):エリクソン、松下電器産業、ソニー、フランス・テレコム、フィリップス、サムスン電子、シーメンス、テレコム・イタリアなどが2007年3月に設立。同フォーラムでは、通信、家電およびエンターテインメント業界の企業に参加を呼びかけており、業界の枠を超えてIPTV関連技術の標準化を迅速に進めることを目的にしている。http://www.openiptvforum.org/

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