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中国ケータイ最前線(2):中国の通信事業者

 
火, 2008-01-29 10:14
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陶一智(著)TERMONY インターネットビジネス事業部代表/村上健一郎(監修)法政大学ビジネススクール 教授

北京オリンピック記念 新連載第2回目!


第2回 中国の通信事業者

本年2008年に開催される北京オリンピックを目前に、中国では、新しい3Gモバイル規格「TD-SCDMA」のサービス開始に向けて活発なトライアル実験が進んでいます。1987年11月18日、広州で始まった中国の携帯電話システムは、2007年11月で20年目を迎えました。人口13億人の中国での携帯電話のユーザーは、いまや5億人を超える世界最大のネットワークになっています。そこで、世界がもっとも注目する中国の通信ネットワーク事情をレポートします。図やグラフだけでなく、携帯電話の利用方法の違いなど、できるだけ具体的に分析し、中国と日本の携帯電話事情の違いを明らかにしていきます。
2回目は、中国の通信事業者について説明します。
陶一智(とう・いちち)(著) TERMONYインターネットビジネス事業部代表
村上健一郎(むらかみ・けんいちろう)(監修)法政大学ビジネススクール

≪1≫固定通信事業者とPHS

〔1〕4社が提供する中国の通信事業

前回は、中国の通信事業者の複雑な歴史と、4つの事業者によって固定および携帯電話のサービスが提供されている現在の状況を示しました。ここで、現在の通信事業者をいったんまとめておきましょう。これを表1に示します。

現在でも、平均で1.2秒ごとに1人の新規加入者が誕生しています。普及率で言うと、中国全土の平均で35.3%に達成しています。北京、上海、広州など大都市では100%に近いのですが、農村部への普及はこれからです。それでも、中国情報産業部が発表したデータによると2007年8月現在、加入者は5億1567万人おり、世界最大のネットワークとなっています。

表1 中国の通信事業者とサービス
表1 中国の通信事業者とサービス(クリックで拡大)

日本と同じく中国でも、携帯電話だけでなくPHSの利用者も大勢います。ここでPHSの歴史と現状について説明します。PHSは固定電話の通信事業者(中国電信/中国網通)がサービスを提供しています。このため、まず、固定電話の通信事業者の歴史について説明しておく必要があります。

前回述べたように、独占的にすべての通信サービスを提供してきた(旧)中国電信(チャイナ・テレコム)は、2000年に固定通信の(新)中国電信と移動体通信の中国移動(チャイナ・モバイル)に分割されました。さらに、(新)中国電信は、2002年に南北に2分割されることとなり、北部の10省市自治区は中国網通が、南部の21省市自治区は(新)中国通信が業務を担当することになりました。ただし、最近では、中国網通は、上海市と広東省でブロードバンド・サービスも行っています。

〔2〕固定電話事業者が提供するPHS

PHS(Personal Handy Phone)のサービスは、1997年12月から(旧)中国通信が行ってきました。最初のサービスは、浙江省余杭市で開始されました(第1回図3参照)。PHSの中国での名前は小霊通(シャオ・リン・トン)で、固定電話のコードレス版の位置付けであり、都市別にサービスが行われています。電話番号も市内番号と同じ8桁の番号が割り当てられています。

これに対し、携帯電話の場合には、138等で始まる12桁の電話番号を持ちます。PHSはローミングはできないので、契約した都市内だけで通話ができ、別の都市に行けば、通話ができないということになります。しかし、PHSは固定電話と同じ通話料金であり、携帯電話に比較して安いので2006年には8530万ユーザが利用するまでになっています。このうち3000万人ほどが中国網通の加入者です。

PHSはあくまで固定通信の一部であって、移動通信事業者は提供していません。また、PHSで使えるサービスは音声とショートメッセージだけで、インターネット接続などのパケット通信は提供されていません。インターネットのメールアドレスも端末についていません。しかし、次世代のPHSではパケット通信が提供される予定があるようです。2007年11月には、日本のウィルコムと中国網通の間でのパケット通信強化に関する提携が発表されています。

図1に中国のPHSサービス加入者の推移を示します。2006年には1億加入者を越えたもと推定されています。この数は、中国の携帯電話の加入者数5億人の1/4に匹敵します。ただし、、2007年8月の中国情報産業部のデータによると、PHSの契約者は9000万台程度まで減少している様子で、これは携帯電話の料金の値下げによる影響が出ていると見られます。

図1 中国のPHS加入者数の動向
図1 中国のPHS加入者数の動向(クリックで拡大)
(2006年2月PHS MoU Group第19回総会におけるBDA China社の発表をもとに作成。BDA社 www.bdachina.com)

≪2≫通信事業者の形態と経営規模

〔1〕中国聯通の企業形態

次に中国の通信サービスに、どのような形態で外資が導入されたかを説明します。1999年、中国はWTO加入に向けて電気通信サービスについて段階的な市場開放を行うことになりました。

1994年に設立された中国聯通(チャイナ・ユニコム)は、(旧)中国電信と異なり、新たに設立されたため、ネットワークの拡充には多額の設備投資が必要でしたが、急速な拡充を行うだけの資金の余裕がありませんでした。このため、従来からシーメンスやモトローラと提携していたものの、思うようにネットワークの拡張ができませんでした。そこで、国外から資金を調達できるように、いったん、香港に子会社として中国聯通股份(グ・フン、株式)有限公司を設立し、それを2000年6月に香港証券取引所およびニューヨーク証券取引所に上場しました。これは持ち株会社であり、この配下に実際のサービスを行う各省の中国聯通有限公司をもつ形態にしました。そして、これらの各省の有限公司にネットワーク構築などの設備投資のための資金を供給しています。企業の形態を図2に示します。なお、図2の上から2番目の中国聯合通信股分有限公司は、上海株式市場(A株)への上場のために2002年に設立された会社です。A株とは、人民元での取引が行われるもので、中国国内の投資家向けの銘柄です。

証券取引所と買う主体によって表2のように分類されています。

図2 中国聯通の企業形態
図2 中国聯通の企業形態(クリックで拡大)

表2 中国株の分類
表2 中国株の分類(クリックで拡大)

〔2〕中国移動の企業形態

一方、中国移動は、(旧)中国電信のネットワークを引き継ぐことができたので、中国聯通に対して優位に競争を進めてきました。こちらのほうは、もともと外資導入のために1997年9月に香港で法人化された中国電信股份有限公司(香港)で、10月に香港とニューヨーク証券取引所に上場しています。

 

すでに説明したように、2000年の中国電信分割により、

①持ち株会社である中国移動通信集団公司

②その配下の運用統括会社であり、香港とニューヨークに上場する中国移動通信(香港)有限公司

に分かれました。中国移動通信(香港)には、2000年にボーダフォンも出資しました。その後、中国移動の時価総額は非常に大きなものとなり、例えば、2006年8月10日にはニューヨーク株式市場における時価総額が1325億8千万ドルに達しています。これは、旧ボーダフォンを抜き、世界の電気通信事業者中でトップの数字となるものです。なお、中国移動通信(香港)有限公司は、英領バージン諸島(BVI:British Virgin Islands)に設立された中国移動香港有限公司を通じて、中国移動通信集団(香港)有限公司が76%の株を保有する形となっています。図3に中国移動の企業形態を示します。

図3 中国移動の企業形態
図3 中国移動の企業形態(クリックで拡大)

〔3〕中国通信事業者の規模

これら移動体通信事業者だけでなく、固定電話事業者の中国電信も2002年にニューヨーク証券取引所に上場し、中国網通も2004年にニューヨーク証券取引所と香港証券取引所に上場しています。このように、すべての通信事業者が株式を公開し市場から資金を調達したことになります。以上の上場時期と市場を表3に示します。なお、どの通信会社も持ち株会社が傘下に地域ごとの通信会社を持つ形態になっていますが、ここでは詳細な説明は省略します。

表3 通信事業者の上場
表3 通信事業者の上場(クリックで拡大)

2006年度の事業者の売上と純利益を表4に示します。表4のように、中国移動の一人勝ちが目立ちます。

表4 中国通信事業者の2006年度の売上と純利益、売上純利益率(クリックで拡大)
表4 中国通信事業者の2006年度の売上と純利益、売上純利益率(クリックで拡大)(クリックで拡大)

携帯電話市場のシェアも、中国移動が約67.5%、その残りが中国聯通であり、大きく中国聯通を引き離しています。

図4 中国の携帯電話市場のシェア
図4 中国の携帯電話市場のシェア

図5には、中国の移動体事業者の経営規模をわかりやすくするため、日本の代表的な事業者であるNTTドコモとKDDI(固定も含む)の2006年度売上高、および純利益を示しておきました。

図5 2006年度の通信事業者の売上と純利益
図5 2006年度の通信事業者の売上と純利益(クリックで拡大)


【コラム】

ネットワーク用語日中対応表
中国語でよくつかうネットワーク用語を下記にまとめました。

ネットワーク用語日中対応表
ネットワーク用語日中対応表
(つづく)


プロフィール

陶一智(とう・いちち)

7年前に来日し、2006年に法政大学ビジネススクールにおいてMBA(経営学修士号)を取得。
現在、株式会社TERMONYのインターネットビジネス事業部代表として、女性のためのウィッグ販売サイトhttp://www.igennki.comのオペレーションを行っている。






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