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IPv6サミット2007特別レポート(前編) - IPv6が本格的な普及期へ

 
火, 2007-12-04 00:00
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標準化動向レポート
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松原 由高(インプレスR&Dコントリビューティング・エディタ/グローバルベンチャーキャピタル 取締役) IPv6サミット2007特別レポート(前編) - IPv6が本格的な普及期へ

IPv4アドレスの枯渇問題が深刻化する中で、国際的にIPv6の重要性が急速に注目されている。このような背景のもと、本サイトですでに速報したようにIPv6 サミットがオーストラリアのキャンベラ(Canberra)で「Australian 2007 IPv6 Summit」(2007年11月19日~21日、以下、「IPv6サミット」と呼ぶ)が開催された。
キャンベラは、オーストラリア首都特別地域(Australian Capital Territory、ACT)の北部にあり、シドニーから約300km南西、メルボルンから約650km北東に位置するオーストラリア連邦の首都(人口:約32万6千人)である。「キャンベラ」という名は、地元の先住民アボリジニ語に由来し、「Meeting Place(出会いの場)」を意味する。今回IPv6 Summitが、なぜキャンベラで開催されたのかその理由は定かでないが、私はこの「Meeting Place(出会いの場)」という言葉との関わりが脳裏から離れなかった。

≪1≫IPv6サミットの3つのスローガン

IPv6サミットは、次の3つのスローガンを掲げ、IPv6の普及に向けて具体的に行動を起こしていく時が到来したことを強調していた。

 1. IPv6の実社会への展開
 2. IPv6のビジネスへの実例づくり
 3. IPv6に対する投資の回収

なお、IPv6サミットの詳細については、下記URLを参照してください。

 ・ IPv6サミットの概要:http://www.ipv6.org.au/summit/
 ・ IPv6サミットのプログラム:http://www.ipv6.org.au/summit/program.html
 ・ 参加者のプレゼンテーション:http://www.ipv6.org.au/summit/abstracts.html

≪2≫IPv6サミットの全体的な印象

〔印象1〕IPv6推進のインセンティブが前面に

写真1 荒野 高志氏(インテック・ネットコア社長)
写真1 荒野 高志氏
(インテック・ネットコア社長)
写真2 松本 在史氏(NTT情報流通プラットフォーム研究所)
写真2 松本 在史氏
(NTT情報流通プラットフォーム研究所)
写真3 トニー・ヒル(Tony Hill)氏(オーストラリアISOC代表)
写真3 トニー・ヒル(Tony Hill)氏
(オーストラリアISOC代表)
写真4 ビデオで参加した「インターネットの父」ヴィント・サーフ(Vint Cerf)氏)
写真4 ビデオで参加した「インターネットの父」
ヴィント・サーフ(Vint Cerf)氏

今回のIPv6サミットにおける全体的な印象は、単にIPv4のIPアドレス・リソースの枯渇という問題提起ではなく、IPv6推進のインセンティブとして、セキュリティ、マネージメント、コストの低減、P2Pの実現といったメリットを、ラティフ・ラディッド(Latif Ladid)氏(IPv6 Forum議長)、江崎 浩氏(東京大学大学院教授)をはじめ、参加者の各氏が強調していた。

その中で、IPv6のキラー・アプリケーションと目されているIPモバイル関連のプレゼンテーションに関心が集まった。例えば、台湾は、自国よりも世界に向けたIT関連製品やサービスを提供するベンダとしての立場から、IPv6に意欲的な取り組み状況を報告した。日本は、具体性に富んだNTTの実例(松本 在史氏 NTT情報流通プラットフォーム研究所)などが紹介され、マーケットとの一体感があり、他国に比べてIPv6の実装が進んでいることを強く印象づけた。

〔印象2〕IPv6の推進役として日本人スタッフが活躍

今回のIPv6サミットの運営については、江崎教授と荒野 高志氏(インテック・ネットコア)をはじめとする日本勢がこのIPv6の推進役として欠かすことができない役割と責任を担っていることが印象的であった。日本色が強く出すぎないように配慮をする気遣いを忘れずに、参加国では先頭を走ってIPv6の実環境への導入に尽力していること、そのことによって確実に経験値を蓄積し、その経験を世界の各国へ還元している姿は頼もしい限りであった。

〔印象3〕ホスト役のトニー・ヒル氏もIPv6に熱意


開催国としてホスト役のオーストラリアは、本サミットの開催、運営に多大なる努力を行っている印象を受けた。特に本サミット開催事務局の責任者のトニー・ヒル(Tony Hill)氏(オーストラリアISOC代表)は、常にホスト役に徹してはいたが、ラディッド氏同様IPv6の普及に強い熱意を持っていることが感じられた。

〔印象4〕「インターネットの父」ヴィント・サーフ氏がビデオ参加

初日、「インターネットの父」として知られるヴィント・サーフ(Vint Cerf)氏は、本サミットに寄せたビデオで、IPv6を普及させるための課題として、ISPへの教育や、IPv4からIPv6への変更に対する投資が回収されるという啓蒙が必要だと述べた。


≪3≫アジア・パシフィック各国のIPv6の展開

次に、今回のIPv6サミットにおけるアジア・パシフィック各国の特徴的な活動を要約してレポートしよう。

今回のサミットのホスト国であるオーストラリアをはじめ、インドネシア、韓国、台湾、ベトナム、日本などのアジア・パシフィック各国はそれぞれのIPv6推進機関を中心として、標準化普及化活動を着実に展開。パイロット・システムの開発と検証を行ってきている。

その中で、次に挙げる活動が特に印象に残った。

〔1〕官民ともに急速に展開が進む豪州IPv6

ホスト国オーストラリアは、過去1年間で、9社の主要ISPがIPv6サービスを発表するなど、官民ともに急速に展開を進めている。政府としては来年(2008年)・再来年(2009年)を準備期間と定め2010年から2012年をIPv4からIPv6への移行期間、2013年から2015年でIPv6環境の実現を目指すマイルストーンを示した。また豪州国防省も、2013年を目標にIPv6へ移行し近未来総合ネットワーク実現に向けて展開していく構想を発表した。

〔2〕MegaTVやWiBroなど具体的なサービスが提供される韓国

韓国では、パイロット・システムでの実績から実用システムへの具体的展開が行われている。特にIPTVの世界へのIPv6の導入展開は特筆される。MegaTV(メガTV)という新しいブランドを設けて積極的に展開。また、WiMAXシステムの具体的導入システムの先例として期待されているWiBro(ワイブロ、Wireless Broadband、韓国版WiMAXサービス)にもIPv6が採用されている。韓国においても各国と同様な課題として、IPv4からIPv6への移行コストが大きな壁であったが、この壁を乗り越え、今後、もっとプロモーションと教育を行いIPv6の普及・浸透に力を入れていくという方針である。

〔3〕世界的なIT機器ベンダとしてIPv6対応に積極的な台湾

前述したような背景もあり、台湾は、IPv6のIT産業への適用や、展開が非常に積極的な印象を受けた。多くのプロダクト・ベンダとサービス・プロバイダがIPv6対応を開始しており、多くのIPv6 Leady LogoⅡを取得。P2Pビデオ・ストリーミング、VoIPプラットフォーム、移動体ネットワーク、ユビキタス、eラーニングなどをIPv6キラー・アプリケーションととらえ、積極的なプロダクトおよびサービス・システムの開発に取り組んでいる。また、IPv4とIPv6の共存システムの検証を積極的に行い、Next Generation Internet Connectivity(NICE)やISPによるIPv6 Tunnel Broker Serviceを用意し、実際にIPv6ミュージック・オンライン・サービスなども開始されている。

〔4〕IPv4を飛び越えてIPv6でインターネットを整備するベトナム

最近、急激にITインフラが開拓されているベトナムでは、IPv4を飛び越えて一気にIPv6でインターネットの基幹が整備されそうな勢いである。ハノイ、ホーチミン市の主要都市では、その準備が着々と進んでいる。

≪4≫IPv6を積極的に推進する日本の展開

今回のサミットにおいて、もっとも印象的だったのは日本におけるIPv6への取り組みの強さとその展開の速さである。具体的には、今回のIPv6サミットにキャリアとISPの両者がプレゼンテーターとして参加しているは日本だけであった。

〔1〕IPv6 Forum/ IPv6 Ready Logo Committeeと日本のJATEの三者がIPv6認証業務で覚書に調印

本ウェブサイトの速報でも述べたように、サミットの初日にIPv6の普及・促進を目指す国際的な業界団体の「IPv6 Forum」(議長:ラディッド氏)、同ForumのもとでIPv6 Ready Logo Programを運営する「IPv6 Ready Logo Committee」(議長:江崎教授)と日本のJATE(財団法人 電気通信端末機器審査協会、理事長:須田 和博氏)の三者間で、IPv6に関する認証業務等の検討を開始する覚書が調印された。このように、日本の産業界がIPv6を推進している証を世界に具体的に示したことは、参加者から大きな注目を集めた。

>>「IPv6サミット2007特別レポート(後編)」へつづく

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